ルーム
7年間監禁されるという設定は、似たような事件が割と最近日本でも起こったくらいで、目新しさはない。もちろん、目新しくないことは面白くない、と言いたいわけではない。
が、目新しさの有無は置いといても、面白くはなかった。詰まらないとは言わないが、面白くはなかった。
実に大雑把な計画で脱出できたのは、映画だから、まあ許せる。それなりに緊迫感はあって、エンディングにはちょっと早いな、と思っていたら、そこがちょうど映画の折り返し地点だった。
普通なら、脱出できてめでたしめでたし大団円のところ、そこから映画の第2章が始まる。よく言う、王子様と王女様のハッピーエンドのその後の物語である。それがこの映画の後半部分であって、その意欲に拍手してあげてもいいけど、その内容が優れているとは言い難かった。ま、フツーである。
ただし。この映画にもフツーではなく優れた部分はある。ジャック役のジェイコム・トレンブレイである。母親役の女優はアカデミー賞の主演女優賞を獲ったらしいが、ジェイコム君こそ賞を与えるにふさわしい。もちろん主演男優賞を。
アンジェイ・ワイダ死去
9日。90歳で。
三十数年前、付き合ってた彼女の下宿のテレビで、「灰とダイヤモンド」を観た。
それまで観た映画の中で最高だった。それから観た映画の中でこれを超えるものはまだ観ていない。
ご冥福を祈る。合掌。
マネー・ショート 華麗なる大逆転
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世間の常識に逆張りで大儲けを企む男たちの苦悩とそれに続く成功の物語なのだが、それがこの映画の全部でないところに、この映画のもしかすると欠点がある。
逆張りの保険料を払い続ける不安や、サブプライムローンが破綻してもCDS(彼らの賭けの対象)の値が下がらない不条理な市場。これらの困難を克服して莫大な利益を得る万々歳の結末だけだったなら、この作品は痛快娯楽映画で、それはそれで面白かったに違いない。
だが、話はそれほど単純ではなく、いよいよ大儲けしそうになると、男たちは大儲けすることを躊躇ったり罪悪感を持ったりする。唯一楽しげなのは銀行員のジャレド・ベネット(彼が貰ったボーナス4700万ドルはCDSを売ったためのものなのだろうか?)だけで、彼にしても屈託が全くないとは言い難い。(チャーリーとジェイミーに至っては、CDSを売るのに四苦八苦しているシーンが、面白いけれど意味が分からない。)
つまりは、事実がそうであったからといって映画で端折ったらいけないことはないのに、あえてなのかどうか知らないが、「痛快さ」を蔑ろ(それは大きくはないけれど)にして、面白くもない「事実」を省略しなかったのである。もしかして、そうすることで、映画としての奥行きを出そうとしたのかな…。
なんにしても、面白い映画ではあった。
まほろ駅前多田便利軒
記憶力がないので、読み返したら前の記憶は99%なくなってて、新鮮な気持ちで読めたのは、経済的にはありがたかった。(気分としては、記憶力のなさに情けなくなるのだが)
で、今回も面白く読めたのだけど、面白すぎて、読み終わるのがもったいなく、終盤で一息ふた息いれた。(自慰行為で早くイクのをガマンして休憩するようなものだ)
だけど、面白いものはガマンなんかせず、一気にイカなくてはいけないのだった。時間を空けてチビチビ読んでたら、前の日読んだことを忘れたり、前の日盛り上がってたレベルまで気持ちが戻らなかったりで、(今度は別の言い方をするけれど)美味しいラーメンをゆっくり食べすぎて、冷めてしまって元も子もない状態に陥ってしまいました。
言の葉の庭
新海誠監督の『君の名は。』が好評だと聞き予告編を見るが、それほど面白そうには思えなくて、同じ監督の『言の葉の庭』をGyaoで見てみた。
風景描写の幾つかは実写かと思うほどの精巧さに驚かされつつも、決定的によろしくないのはキャラクターである。人物が絵的に魅力がない。動きもぎこちない。デフォルメのない割とリアルな画にしたかったのだと推測するが、デフォルメのない画であっても魅力的な画は描けるはずであって、これだったらマンガチックな絵柄の方がよっぽどマシである。
と、書いてて思ったのは、『惡の華』のキャラである。あれくらいのキャラ(絵的にも動きにしても)を『言の葉の庭』に出してたら(出せてたら)、もう少し点数をあげたのに。
ちなみにストーリーは、陳腐とまでは言わないが、目あたらしさは全然ない。
ということで、今後、『君の名は。』を見ることはないだろう。
男子4×100m銀メダル
リレーとはいえ、日本人が短距離でメダルを取れるとは、思いも寄らないことでした。