池上彰がいつも正しい訳じゃない
たしかにこの日(12月16日)の朝日新聞1面には、僕も驚いた。ただ、理由は池上さんとは真反対だった。
新聞の紙面は全国同じじゃなくて、大きなニュースが入ってくるとどんどん差し替えていく。配達時間の関係で、早く刷った版が届く地域とあとから差し替え版が届く地域では紙面が違うらしいから、池上さんと僕が見た朝日の1面は違っている。
僕が見た1面は、一番目立つところに「内密出産」の記事が載っていて、その次に目立つところに「ABC予想」が載っていた。
僕の感想を言おう。「内密出産」の記事は、せいぜい社会面に載せておけばいい。なんで「ABC予想」が一番目立つところに載ってないのだ?! 「フェルマーの最終定理」や「ポアンカレ予想」の証明に匹敵するほどの快挙は、なにがなんでも1面大トップでしょう。
池上さんは「ABC予想」がなんなのかの説明にも「全く理解できない」とあきれる。「ABC予想は、整数の性質を研究する整数論の難問で、85年に提示された。整数aと整数bの和がcのときに成立する特別な関係を示す」という解説に「何のこっちゃ」と批判している。でも、その解説のすぐ下に、数式を使ってちゃんと説明していることには触れない。たしかに数式を使った説明を読んでも、「何のこっちゃ」が「なんとなく分かる」くらいに変わるくらいのものではあるけど、記事を全部読めば、少なくとも、今回の証明が「偉業」と呼べるくらいの出来事であることは伝わる。
池上さんは、自分の理解できないこと、自分が興味ないことには、そのことの重大性を正当に評価できなくなってきたのではないかと、僕は危惧する。物知りのオヤジだったのがだんだんガンコジジイになっていく過程なのではないかと思う。人は誰しも老いる。
世にも奇妙な物語´17秋の特別編
今回は(今回も、と言いたいとこだかガマンして、「今回は」)駄作ばかり。まだしもマシだったのは「夜の声」。藤原竜也はあいかわらず役者としては好きではないが、飯豊まりえ(クレジットを見るまでは彼女だとは気づかなかったけど)はカワイいく、ストーリーも他の作品に比べればよかったほうだ。
ただし、なんで若い女の子がホームレスを好きになったかとか(まさかヤクザから匿ってくれたためとか?)、主人公がホームレスのときに自分が社長だと教えればうまくいくのにだとか(一応、本当のことを教えようとするシーンはあって、それがちゃんとできないことの伏線も張ってはあったけど)、しっくりこないところがあって、そこを視聴者にうまく納得させることができれば、「まだしもマシ」からただの「マシ」にはなっていただろう。
原作が手塚治虫とあってちょっと驚いた。原作と比べてみたいものだ。
わにとかげぎす
「わに」と「とかげ」と「ぎす」?「りす」の間違いじゃないか?でも、「りす」だとしても、動物みっつ並べてどんな意味?って思ってたら、「わにとかげぎす」でひとつの名だそう。
本田翼がかわいい。富沢みたいな何の取り柄もなく歳も離れた男をなぜか好きになる。同じように取り柄もなく年をくった我々は、もしかすると本田翼なみにかわいい女に好かれるかもしれないと、あり得ない妄想をしてしまう。有田哲平も予想外に演技がうまい。ときどきはカッコよくも見えてしまうほどだ。脇役もそれぞれいい味を出している。同僚である二人の警備員、ヤクザとその情婦、羽田さん(本田翼)の元カレらしいストーカー野郎、ヤクザから救うためにお金を出してやったホームレス。などなど。
ストーリーも展開が読めないし、飽きるところがない。こういうのをクールっていうんだろうな。
今年見たドラマの中では一等賞。
11人いる!
ウィキペディアで調べると、「11人いる!」は1975年に「別冊少女コミック」に連載されたとある。僕が読んだのはそれから数年後のことで、たしか文庫サイズのコミック本だった。その本はボクにとって宝物と言っていいくらいだったのだけど、たかがマンガ本くらいにしか思っていない母が人(たぶんボクの甥っ子)にあげてしまった。
そして、30年以上も前に読んだその作品を、無性に読みかえしたくなって、TSUTAYAで注文した。
やっぱり傑作だった。
昔感動した本を読み返しても、当時の感動の何分の1しか同じ気持ちになれないことがフツーなのに、「11人いる!」は半分くらいは感動の目盛りが振れた。(「半分かよっ?!」ってツッコミは要らない。)