騎士団長殺し
最後まで読むと、〈第2部終わり〉とある。これは、第2部が終わっただけで続きがありますよということなのか、第2部のここで完結ですよということなのか、どっちなんだろう?
どっちにも受け取れるところが、この作品の特徴なんでしょう。つまりは、これで話が終わってもおかしくないし、続きがあってもおかしくない、という、どっちでもいいような作品だっていうこと。
もっとはっきり言えば、村上春樹は終わったということ。
タイトルの「騎士団長殺し」を目にした時は、これまでとなんか雰囲気違うぞって、ちょっと期待もあったのだけど、中身を見れば、な〜んだ、これまで書いてきたことの再利用というか自家製パロディというか、つまりは作家の才能が尽きた後の哀しい残骸でしかありませんでした。
井戸の話は「ねじまき鳥クロニクル」で出てきた(と思う)し、ちょっと変わった美少女は「1Q84」で出てきた(と思う)し、異界の地下は「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」で出てきた(と思う)し、これまでの作品の使い回し以上のものがない。
誓って言いますが、私は、19か20の頃、「羊をめぐる冒険」を読んだときに、「こんな小説があってもいいんだ」という強い衝撃を受けました。それまで読んできた小説(太宰とか大江とか芥川とか森鴎外とか)とはまったく違う新しさに、ほんとうに驚いたのです。
それからというもの、村上作品は翻訳物を除けばほとんど買って読んでいます。つまりは大ファンと言ってもいいくらいの私ですが、はっきり言ってもう、村上春樹は見限ります。
おそらく村上春樹作品で読むべきものは、ギリギリのところ、「ねじまき鳥クロニクル」(これも第2巻は余計ですが)までだったのだと思います。それ以降の作品は、言ってみれば、「晩節を汚す」といった態のものでしょう。
私のこの拙いブログが村上さんの目に触れることはありえないでしょうが(だからこそこんな失礼なことを書き連ねているのですが)、もう一度、震えるような感動作を読ませてほしいと、その可能性が薄いと思いつつ、願って止みません。
村田諒太 判定負け
WBA世界ミドル級王座決定戦、対エンダム戦を2対1の判定で負けた。
会場ではブーイングこそ起きなかったものの、TV越しにも納得できない雰囲気があふれて見えた。
わたしも村田が勝ったと思っていたので、判定に不満というより、なんで?という疑問の方が大きかった。
村田がエンダムに、ダウン1回と、ダウン寸前のダメージを何度か与えたのに対し、エンダムは村田にそれほどのダメージを与えることはできなかった。(少なくとも私にはそう見えた)
たしかにエンダムは打たれ強く、大きなダメージの後もすぐにパンチを返したり、軽やかにステップを踏んだ。
ボクシングがKOで決着しなかったとき、ラウンドごとのポイントの合計で判定することは知っている。素人の身で言わせてもらえれば、最終ラウンドまでにKOで決着しなかった場合、そのまま試合を続けたらKOさせることができるであろう方を勝者にすべきではないかと思うのだが、とにかく今のルールではラウンドごとに「よく戦った」方がポイントが高く、その合計点が多い方が勝者になる。
うまく言えないが、おそらくは、村田がエンダムにダメージを与えたラウンドより、エンダムが上手く戦ったラウンドが多かったということなのだろう。
たぶん村田も、勝者がコールされる直前まで自分が勝ったと信じていたに違いない。
だからこそ村田は、これから、戦い方を変えなければならないと気づいたと思う。相手をKOして勝つための戦略に絞るのか、KOできないときにポイントで勝つためにどうするのか。
それにしても、3人のジャッジで評価が分かれるって、どういうことなのって思う。ジャッジの判定能力の問題だとしたら、やるせない。
カルテット
最近見たドラマの中では一番よくできた作品だと思う。
たぶん脚本が凝ってるヤツが自分の好みなのだろう。