族長の秋

族長の秋 (ラテンアメリカの文学) (集英社文庫)

族長の秋 (ラテンアメリカの文学) (集英社文庫)


改行が一切ないので、前の文章のつづきかと思いながら読み進めると、まったく違う話が始まってたりする。そして、読点でつながった文章は、一人称と三人称がまぜこぜになっており、一人称はその主体がころころ入れ替わる。だから読みづらいのだが、そういうスタイルがこの作者独自のものなのか中南米文学ではフツーのことなのか知らない。でも、「百年の孤独」よりははるかに読みやすかった。
面白いかと訊かれたら答えに困る。衝撃的な事象を書いていても実に淡々とした表現、というかあっさりしすぎて、おじいちゃんが孫に昔話をして聞かせているような、「小説」というよりは「物語」と言ったほうがよい作品だ。