川上未映子

「そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります」を読んでいる。

そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります (講談社文庫)

そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります (講談社文庫)


読んでいるといっても、一気読みじゃなくて、たまの出張にバッグに忍ばせ、飛行機や電車の中で少しずつ読んだりしているのであって、家にいるときは別の本を読むことがほとんど。エッセイ、というかブログの転載みたいなもんだし、一気に読まなくっても、ちょっとずつ、気の向いたときに読めるような本、というか、そういう読み方に適している本なのである。
この本読めば、ああ、川上未映子はスゴイ、というのがわかる。スゴイじゃなくって、ステキ、と言ってもいい。日によってバラつきは多いけど、たまにすごくいい記事(ブログなので「記事」)がある。彼氏が浮気したときの話とか、子どもの頃の両親のケンカの話とか。
言葉の使い方が独特で、ときに詩的、それが過剰なときは、ちょっとついてけないなあ、と思うこともある。芸術なんて、と、急に話は大きくなるが、平均的にうまく書ける(あるいは描ける、とか、撮れるとか、弾けるとか、いろいろありますが)より、しょっちゅう駄作はあってもたまに特大ホームランを打てる(なぜ、スポーツで譬える?)ほうが魅力的、というか、スゴイ、と思う。駄作が続きすぎると、ああ、この人も終わったな、ということにはなるのだけど。
で、「わたくし率イン歯ー、または世界」が文庫になったというので近所のTSUTAYAに行ったら見当たらず、店員さんに訊いたらパソコンで調べてくれて、でてきた言葉が「うちには初回配本はなかったです」。おいおい、芥川賞作家の(それも美人の)、あまり文庫化してない作家が、というか文庫化するほど多くを書いてないのかもしれないけど、やっと出てきた文庫(「乳と卵」なんていつ文庫化してくれるんだ。オレはずいぶん待ってるんだよ。ということはさて置き)を天下のTSUTAYAが仕入れてないって、それは川上未映子をTSUTAYAはどう評価してるんだ、みたいな怒りは全然ないけども、商売的におかしいだろソレ、とは思ったのであった。