コンビニ人間

心に障害のある主人公と彼女の周りとの間に生じる摩擦を彼女の側から描いた作品である。

と言っても、障害者の苦悩を訴えたり、障害を克服する姿を感動的に見せたりする類いのものでは全くない。(そもそもこの作品の中に「障害」という言葉自体でてこない。)

誰もが、職場や学校や街中で「困った人」の一人や二人見たことがあるだろう。どこかフツーの人とズレていて、訳の分からないところで怒りだしたりする人である。主人公は他人を怒ったりはしないが、フツーであることが理解できず、しかし、フツーであるフリをしないと暮らしにくいことは理解している。

そういう主人公を通して、この作品は読者に、フツーであることの異常さとか醜さとかを見せつけている。我々がフツーだと思っていることが本当はフツーじやないんだと教えてくれる。