たかが世界の終わり

よく分からない映画だ。

特に兄がなぜあれほど弟を嫌うのか。映画の中で説明シーンもない。

兄の嫁が弟に語ったのは、「あなた(弟)はあの人(兄)に関心がない」。これが、兄の弟に対するひどい態度の理由なのか?

よく、振られた女(男でもいいけど)が、「好きの反対は嫌いじゃない。無関心よ」と言うが、自分に対する弟の無関心が、あれほどひどい言動につながるのだろうか。仮に、弟を愛しすぎるがゆえに、だとしても。なんか、それだけじゃないような気がする。

ふつうなら、12年前になにか事件があって、それが理由で弟が家出した。そのときのしこりが12年経った今も消えていない、といったところだ。しかし、12年前になにか事件があったようなシーンはない。ないこともないかと思うシーンもあるが、これが断片すぎてまたよく分からない。たぶん、弟は当時からゲイで、同じ歳くらいの男の子が宵闇に隠れて弟の部屋(もしくは半地下室あるいは物置)を訪れていたらしきシーンである。

その男の子は、兄の話では最近死んだらしい。弟はその死を知らなかった。そして、このエピソードはそれ以上の展開を見せない。

結局、兄の憎しみなのか悲しみなのか怒りなのか、あるいはその全部なのか知らないが、弟に対する感情の原因は観客に明らかにされない。もしかしたら、登場人物たちも知らないのかもしれない。

そういう、訳の分からない話なのである、この映画は。