暗幕のゲルニカ

 

暗幕のゲルニカ (新潮文庫)

暗幕のゲルニカ (新潮文庫)

 

 

「楽園のカンヴァス」があまりにも面白すぎて、原田マハの最高傑作はこれだろうと思うと、彼女の他の作品を読む気にならなかった。けれど、TSUTAYAでこの「暗幕のゲルニカ」が推されていたので、2匹目のドジョウももしかしたら美味しいのかもしれないと思い、買って読んだら大ハズレ。

面白くなかった原因は何なのだろう。主人公である瑶子らキャラに魅力がないこと(「楽園の~」では、主人公の娘にとにかく萌えさせられた。)。ゲルニカ自体に芸術的な価値を感じられないこと(僕はピカソでは薔薇色の時代が大好きだ。)。などがすぐに思い付くところ。

もう一人の主人公であるドラ・マールを中心に据えたほうが良かったのかもしれないが、それだと二つの時代を交互に見せるというこの小説の構造が成り立たない。つまりは、現代を描いたパート(瑶子が主人公のパート)が失敗(というのが言い過ぎだとしたら、少なくとも成功しなかった、と言い換えよう。)だった。