カメラを止めるな!

ざっくり言うと、この映画は3部構成になっていて、最初にワンカットで30分(話は横道に逸れるが、いまこの記事を書いているスマホで「30分」と出力させるためには、「さんじゅっぷん」と入力しなければならない。話を戻す。)くらいB級ホラー映画が流れる。2番目に、その撮影の1か月前の場面が続く。そこでは、そのB級映画を撮ることになる監督とその家族が撮されている。そして、最後三番目に、そのB級映画を撮影しているところが映される。

ここで、我々観客は、最初に映されたB級映画がどのように撮影されたのかの顛末を知り、笑い転げる。はずの映画なのだが、私個人は、一回クスリとしただけだった。面白くなかったわけではなく、私がそもそも映画を観て笑うような人間ではないだけのことである。それなりに面白い映画ではあった。

もっとも、「これが何十万人だか何百万人だかを映画館に呼び寄せた映画か?!」と言った人は多かったと思うし、私も心の中でそう呟いた。その程度の映画だと思うが、その程度の映画が爆発的にヒットすることもある。具体例をパッと思い出すことはできないが、きっとそういう映画はある。

そもそも、この映画が面白いと言う人に、内田けんじの「運命じゃない人」か「アフタースクール」を観てみてほしい。すでに観てたらゴメンだけど、「カメラを止めるな!」の一番のキモであるアイデアを内田けんじの映画がいかに鮮やかに作品に仕上げているかが分かっていただけると思う。

最後に蛇足を一つ。私は最初に、この映画は3部構成であると書いたが、ほんとは、最後のエンドロールにちょっとした味があって、この部分を加えて3.1部構成と言っていいかもしれない。