ムーンライト

暴力やセックスをこれでもかと過激に描写すると、問題作とかリアルだとか妙に評価されることがあるけれど、そんなやり方で観客の心を揺さぶるのは好きじゃない。そういう意味では、この映画は直接的な(あからさまとか扇情的なとかと言い換えてもいいのだが)表現を極力避けているのが好ましく思う。ただし、それによって映画の評価が決まるわけではもちろんなくて、「ラ・ラ・ランド」と間違われてオスカーを取り損ねたほどにいい映画でもなかった。

結局は純愛映画なのである。主人公が愛したのが同級生の男だというだけで、高校生のときに初めて体の関係をもった相手を忘れられずに大人になった男の話である、簡単に言ってしまうと。