教団X

中村文則の作品は、いつも未完成のまま発表されているような気がしている。それは、でき損ないということではなく、未完成であるがゆえの力強さを完成させることで損なわせないための、頃合いのよい出来上がりなのである。

その未完成の魅力を損ねることなく完成までもっていけるようになったら、中村文則は大作家と呼ばれるようになるだろう。