白いしるし

 

 

白いしるし (新潮文庫)

白いしるし (新潮文庫)

 

 

飛行機の中で読む本を空港の売店で探したら、西加奈子の文庫があったので買った「白いしるし」。

間島昭史や瀬田みたいな人間は、世の中のどこかにいるかもしれないけれど、私のような人間が関わるようなことはなかろう、つまりは、平凡な人間である私は平凡な人生を歩んでいるわけだけど、相手が間島や瀬田ではなくとも、夏目や塚本美登里みたいに、溺れるように異性を好きになることは誰にでもあって、溺れてもなんとかまだやり直せそうな三十代女子が読んだら「うん。わかるわかる」とか言いながら、涙を流して読むのかもしれないが、溺れたら死ぬ、というより溺れる機会がなくなった私のような年寄りにとっては、少しばかりの懐かしさと羨ましさを覚えるだけである。