赤頭巾ちゃん気をつけて
掲載当時としてはこの文体、斬新だったろうなと思う。今でも、ほぼ立派に通用するとも思う。(多少、甘ったるくはあるけれど)
ただ、評価されたのは文体ばかりじゃないはずで、小林の告白、つまり、芸術はセックスや暴力を題材にした直截的で刺激的な娯楽には勝てない、あるいは自分にはそれらに勝てる芸術を生み出せないという諦めを聞き、同じ悩みをもつ薫くんがどうするかということがメインテーマにならなくてはいけないのに、純真な少女(というより幼女)にコロッと騙されて終わりというのは、これまたちょっと安直すぎませんか。