楽園のカンヴァス

 

楽園のカンヴァス (新潮文庫)

楽園のカンヴァス (新潮文庫)

 

 久しぶりに面白い小説を読んだ気がする。

監視員として美術館で注意した生意気な女子高生(美形)が、家に帰ったら娘だったというのに、まずはガツンとハートをつかまれた。この娘のしゃべりが岡山弁なのかなんなのか、見た目とギャップがあって、これがまた「萌え」なのであるが、出番が最初と最後しかないのが勿体ない。

ピカソの作品の上にルソーが描いたかもしれないとか、インターポールのおねえさんが出てきたりとか、ちょっと盛りだくさんな感じが逆に余計に思えたものの、ピカソonピカソの出鱈目な推理とか、「物語」の作者がヤドヴィカでジョゼフがバイラーだったとか、思いがけないけれどなるほどそうきたかという、いい意味で騙されて嬉し悔しの結末が痛快である。