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レイジング・ブル

 

 妻の浮気を疑って、疑われることで妻は気持ちが離れて、そうすると更に妻への不信が募ってのデフレ・スパイラル状態。妻も弟も叩いておきながら、謝りもせず、「昔の話だ」と平気で言う。タイトル戦に出たくて八百長を受け入れときながら、試合後には後悔して泣く。ここで心を入れ替えるかと思うと、別にそういうことにはならない。ボクシングは強いが、人間的には最低の男。最後は場末のキャバレーで舞台に立ち、品のないジョークを言っている。見ていてうんざりする主人公に感情移入ができないまま、映画は終わる。

スコセッシはなんでこんな映画、というか、こんな主人公を撮ったのだろうと不思議に思ったけれど、考えてみれば、「タクシードライバー」だって「キング・オブ・コメディ」だって、主人公は妄想が高じて犯罪者になるような奴らだった。でも、それはそれで何かしら共感めいた気持ちになれたのだが、今回はどうしようもなかった。