犯罪

犯罪

犯罪


どこまでが事実でどこからが創作か分らない小説は、なんか作者から騙されているような気がして嫌いだ。事実の重みを大事にしたいのなら、ドキュメンタリーとかノンフィクションとして作品にしてほしいと思う。
本作は弁護士が現実の事件を題材にして書いた小説ということなので、きっとイライラするだろうと思って読み進めたが、すぐにそういうことが気にならなくなった。理由は分らない。
修飾や形容を極端に廃した文体はまるでシナリオか小説の粗筋みたいだった。でも、それが読んでいて心地よかった。詳しく書かないことが却ってなにかを表現している。そんな小説。そして、そんな文体が感情を揺さぶってくれた。