リトル・シスター

リトル・シスター

リトル・シスター


村上春樹の翻訳モノは、いつも(と言っても、5,6冊しか試していないが)面白くないので、だいたい途中で投げ出してしまう。
そして、チャンドラーの書いた本もこれまで読了した作品はない(と思う。2,3冊しかチャレンジしていないが)。
で、この本。村上春樹が訳したチャンドラーなのだから、当然、読み通せるわけがないはずなのに、幸運にも最後まで読めた。

村上の「訳者あとがき」で納得したのだが、「リーサ」の名前が出てきたときその名前に記憶がないものだから、「またオレは、読んだとこ忘れてしまった」と思って、前のページを繰ったけどそれは見つからなかった。そうですか、チャンドラーのほうが書きまちがってたんですか。そんなこと、舞城王太郎以来だなあ。もちろん、書いたのはチャンドラーが先だけど、オレが読んだのが舞城が先だということで。
村上によれば、そういうデタラメさなんか気にしないでチャンドラー節を楽しむのが「通」のようである。村上の言わんとすることは分かる。登場人物のほとんど皆が、キザなセリフを吐く(村上作品の登場人物の話し方に似ている)。現実世界で聞いたら頭をポリポリしてしまいそうだが、小説の中では(正しくは、「チャンドラーの小説の中では」なのだろうが)かっこよく聞こえてしまうのである。