完全なる首長竜の日

完全なる首長竜の日

完全なる首長竜の日


「『このミステリーがすごい!』大賞受賞作」という帯につられて購入。(こういうパターンが多い)
裏表紙側の帯にはこの作品を評する4人の名前があって、みんなほとんど知らない、というか、なんか聞いたことあるような名前だけどやっぱ知らないかも、みたいな人たちである。伏せる必要もないので名前を明かせば、大森望香山二三郎、茶木則雄、吉野仁。有名でもなんでもない人にやっと褒めてもらえた作品、みたいな印象を与えやしないか?と出版社のやり方に疑問を感じつつ、巻末の選評を読んで、4人が「このミス」の選者だったことに気づく。それによって、さらにこの賞の権威と信頼性のなさに気づかされてしまった。
まあ、読んでしまったものはしょうがない。まあまあ面白かったし。(以下、ネタバレあり)
最後のオチはありきたりだったけど、そのオチの前の起承転結の「転」のところは、「お!」という軽い驚きはあった。弟の浩市ではなく、ほんとうは主人公のほうが意識不明だったというところ。ただ、「お!」であって、「おお!すげえ!!」ではない。『弁護側の証人』は他の部分は全くお粗末なのに、トリック(それはやはり読者に対する仕掛けだった)だけは「おおお!!」級だったのだった。
弁護側の証人 (集英社文庫)

弁護側の証人 (集英社文庫)