ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバー (新潮文庫)

ゴールデンスランバー (新潮文庫)


題名をみて、ああ、犬(ゴールデンレトリバー)の話かと思えばさにあらず、ビートルズの曲名らしいが、あえてそれをもってきた作者の意図はよくわからない。まさか「ノルウェイの森」に対抗したわけではなかろう。しかし、内容は面白い。タイトルなんてどうでもいいのである。
伊坂作品は結構アラの多いものもあって、「ギャング」シリーズの続編が出たら読むだろうけど、それ以外はもういいかなと思っていた。でも、本屋大賞を獲ったっていうんで、だったら読んでみようと思い直したのは正解だった。
陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)

陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)


陽気なギャングの日常と襲撃 (祥伝社文庫)

陽気なギャングの日常と襲撃 (祥伝社文庫)


あいかわらず伏線とその解決が多い作品で、なんども伏線部分を確認してしまうハメになった。まあ、鮮やかである。
それと、会話が面白いのもいつものとおり。粋でシャレている。今回は字数が同じ会話のやりとりが続くという趣向もある。
そして、レトリックと言ったらいいのか、修飾や言い換えの妙。「神は細部に宿る」というけれど、ちょっとした表現が心をくすぐってくれる。
だ・け・ど。今後も伊坂作品を読み続けるかというとビミョー。先に書いたように、アラい、つまりは粗製乱造みたいな作品も結構あったりして、伊坂作品には当たり外れがあるという印象なので。