車谷長吉

朝日新聞土曜版beで「悩みのるつぼ」の回答者である車谷長吉の作品を読んだことはない。名前がジジ臭いのが理由の一つである。
が、「悩みのるつぼ」における氏の回答は面白い。氏の回答は質問者が欲するような回答になっておらず、ひと言でいえば実もフタもない。先日(3日)の回答の最後の部分を引用しよう。「あなたさまのお悩みを読んでいると、あなたさまを含めてご一家の人には、救いはないと思います。それを覚悟なさるのがよいと思われます」。突き放しっぷりが見事である。ふつう、どこかに希望があるような言い回しをしそうなものだが、氏の回答には思わせぶりなところがない。そして、なにかしらユーモアがある。