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こちらあみ子

文庫の帯に、「あみ子は、少し風変わりな女の子」「純粋なあみ子」「少女の無垢な視線」とあるが、正確には、あみ子は知的障害者である。そうだとは書いてないが、明らかにそうである。障害者の側から見た世界を、面白い小説にしたのである。 そんなことより…

劇場

永田と青山のメール(LINEだったっけか)での論争というか口ゲンカが面白かったところだが、これは「人間」の永山(だったっけか)と影山(だったっけか)のTwitter(だったっけか)での論争というかやはり口ゲンカが面白かったのといっしょで、ワンパターン…

冬の狩人

大沢在昌の連載新聞小説。 大沢作品は二つか三つしか読んでないはずなのに、もう飽きてしまった。クールとかドライさを期待していると、ちょっとベタベタした感触がする。それが大沢作品の味なのかもしれないが、今はもういいかな、という感じ。

しんせかい

読みやすい文章で、内容もそれなりに面白かったが、逆に読みにくい文章、というか味付けの濃い文章が読みたくなって、その渇望にぴったりというわけではないが、太宰治の文庫本、それは何十年も前に買ったもので、黄ばんでしまって、当時の文庫がみなそうだ…

流人道中記

このあいだまで読売新聞で連載していた浅田次郎の作品。 これまで浅田次郎作品はほとんど読んだことがなく、「鉄道員」が売れていても、どうせ人情話の、よくいう「泣ける話」なんだと思って読まなかった。 今回の「流人道中記」、これもまた人情話の時代劇…

ひこばえ

朝日新聞で連載していた重松清の小説が終わった。これまで、重松清の作品を読んだことがなかったのに、重松清の作品がなぜか嫌いだった。読んだことがないのに、である。おそらく、書評やら、文庫の裏表紙に書かれた概略やらを読んで、なんとなく合わないな…

あひる

ひと月くらい前に読んだのに、珍しくストーリーを(かなりおぼろげにしろ)覚えているのは、面白かったのか、分かりよかったのか。

奇譚を売る店

何年か前、赤旗に連載していた「新・二都物語」はとても面白かった。

ワカタケル

日経新聞で連載していた池澤夏樹の小説は、存外に面白かった。

キャプテンサンダーボルト

キャプテンサンダーボルト 上 (文春文庫) 作者: 阿部和重,伊坂幸太郎 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2017/11/09 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る キャプテンサンダーボルト 下 (文春文庫) 作者: 阿部和重,伊坂幸太郎 出版社/メーカー: …

レディ・ジョーカー

レディ・ジョーカー 上 (新潮文庫) 作者: 高村薫 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2010/03/29 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 43回 この商品を含むブログ (87件) を見る レディ・ジョーカー 中 (新潮文庫) 作者: 高村薫 出版社/メーカー: 新潮社 発売…

箱庭図書館

6作品の短編集。 「コンビニ日和!」と「青春絶縁体」がなかなか良いが、「ホワイト・ステップ」が格別に良い。ちょっと泣けたってのもあるけど、ストーリー展開が短編らしい鮮やかさだった。

QJKJQ

「鳩ポン」とか「日本住宅売買新報」とかあたりはちょうどいいのに、「アカデミー」まで行っちゃうと、現実から離れすぎて、もうSFの世界。

あなたが消えた夜に

文庫の帯に「圧倒的、人間ドラマ」とある。こういう意味だろう。「くどいし、ミステリーじゃないじゃん」 これを映画とかテレビドラマにしたら、中島と小橋のやりとりはそのままで、モノローグ的なところ(くどいところ)はバッサリ切って、ストーリーは一見…

陽気なギャングは三つ数えろ

読んでるときはとても面白いのだが、読み終わってみるとイマイチな感じ。 いいんです、それで。読んでる時間が幸せならば。いや、ほんとに。

異類婚姻譚

この作品のどこが芥川賞に値するのか分からない。 本谷有希子は、「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」と「生きているだけで、愛。」を読んだことがある。うまい下手は関係なく、勢いというか必死というか、若さゆえの青臭い魅力が若さゆえの未熟さを上回って…

未必のマクベス

この小説は、偉大なるデキソコナイである。 (以下、ネタバレあり) ストーリーが、破綻しているとまでは言わないが、ちょっとおかしいんじゃないかと思うところがいくつもある。 特にひどいと思うのは、主人公中井は森川が鍋島であることに気づかないが、読…

コンビニ人間

心に障害のある主人公と彼女の周りとの間に生じる摩擦を彼女の側から描いた作品である。 と言っても、障害者の苦悩を訴えたり、障害を克服する姿を感動的に見せたりする類いのものでは全くない。(そもそもこの作品の中に「障害」という言葉自体でてこない。…

李鷗

仮にこの作品を僕が書こうとしたら、拳銃の構造に詳しくないといけないし、旋盤やフライス盤の使い方も覚えないとダメだし、中国語を書いたり読んだりできないといけないしし、クラブやバーがどんなところか分かってないといけないし、つまりは、関係者に取…

暗幕のゲルニカ

暗幕のゲルニカ (新潮文庫) 作者: 原田マハ 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2018/06/28 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (2件) を見る 「楽園のカンヴァス」があまりにも面白すぎて、原田マハの最高傑作はこれだろうと思うと、彼女の他の作品を読む気…

我らが少女A

4月から読み始めたのがこの小説のどこらへんだったのか、3月までのことを知らないので、分からない。 だから、今日、毎日新聞の連載が終わったのが唐突に感じてしまうのも、3月までの分を読んでいないからなのか、そうじゃないのかも僕には分からない。 …

セブン殺人事件

文庫の帯に、「書店員が選んだもう一度読みたい文庫ミステリー部門第1位」とある。この本自体に文句を言うつもりは毛頭ないが、いろんな文学賞やらなんやらでお客に買わせよう買わせようとするのは、読んでから読んでよかったと思える本だけにしてほしい。繰…

杳子

杳子・妻隠(新潮文庫) 作者: 古井由吉 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2017/05/26 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る きのうは1ページ目で眠くなった。缶ビールを2本飲んでたので仕方ないと思ったが、今日は3ページ目で挫折しそうになり、…

流 (講談社文庫) 作者: 東山彰良 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/07/14 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (5件) を見る この小説には、青春があり、暴力があり、友情があり、憎しみがあり、謎があり、愛がある。 こんだけ盛りに盛ったらふつうウ…

国宝

吉田修一の朝日新聞連載小説が終わった。 俊介が死ぬあたりから小説内の時間がバタバタと進みすぎで、もうちょっとゆっくりたっぶり書き上げてくれたらよかったのにと、残念ではある。ということは、この作品、面白かったということでもある。

ルーブルの猫

たぶん、松本大洋は発展途上なのだろう。作品ごとに絵柄が違い、「これが松本大洋の絵だ」と確定したものがまだない。もちろん、どの作品にも松本大洋らしさはあるのだが、いつもそれまでとは違った描き方を試しているようなところがある。 それで、本作だが…

サラバ!

いや、まあ、それなりに面白かったけれど、初めて読んだ「漁港の肉子ちゃん」の衝撃がすごすぎて、この「サラバ!」が直木賞だったら、「漁港の肉子ちゃん」にもなんかやってくれ!

芥川賞・直木賞

朝日に載ったエッセーは、芥川賞を受賞した石井さんが直木賞っぼくて、直木賞を受賞した門井さんが芥川賞っぼい文章だ。

11人いる!

ウィキペディアで調べると、「11人いる!」は1975年に「別冊少女コミック」に連載されたとある。僕が読んだのはそれから数年後のことで、たしか文庫サイズのコミック本だった。その本はボクにとって宝物と言っていいくらいだったのだけど、たかがマンガ本く…

チャンピオン

「アリバイ・アイク」の中の2番目の短編。 ただ単にケンカの強い男が、ボクシングでチャンピオンになったからといって、人格者になるわけもなく、他人や家族に優しくなるわけもなく、自分勝手な人生を送るだけの話なんだけど、だからといって因果応報とか最…