白いしるし

 

 

白いしるし (新潮文庫)

白いしるし (新潮文庫)

 

 

飛行機の中で読む本を空港の売店で探したら、西加奈子の文庫があったので買った「白いしるし」。

間島昭史や瀬田みたいな人間は、世の中のどこかにいるかもしれないけれど、私のような人間が関わるようなことはなかろう、つまりは、平凡な人間である私は平凡な人生を歩んでいるわけだけど、相手が間島や瀬田ではなくとも、夏目や塚本美登里みたいに、溺れるように異性を好きになることは誰にでもあって、溺れてもなんとかまだやり直せそうな三十代女子が読んだら「うん。わかるわかる」とか言いながら、涙を流して読むのかもしれないが、溺れたら死ぬ、というより溺れる機会がなくなった私のような年寄りにとっては、少しばかりの懐かしさと羨ましさを覚えるだけである。

アルゴ

アカデミー作品賞はだいたい観るようにしてるけど、これは観てなくて、なぜかというと結末が分かってるから観る気にならなかったのだけど、観てみたら、結末が分かっててもスリリングでありました。

ベン・アフレックといえば、マット・デイモンと作った「グッド・ウィル・ハンティング」は傑作だったけど、今作を監督したのを知って、あれがまぐれじゃなかったと分かった。

神様なんかくそくらえ

ダメな男でも惚れてしまったらしょうがないほど愛してしまう女。(もっとも女も、道端で物乞いをするようなダメっぷりだが)

男に捨てられた女は麻薬に溺れ、売人の男と暮らす。

どんなキッカケで元カレとヨリが戻ったか忘れた(自殺未遂だったか?)けど、2人は長距離バスに乗って新しい場所で新しい生活が始まるはずだったのに、女が寝ているスキに男はバスを降りる。

女はまた麻薬に戻っていく。

って話だったはず。

ひつじ村の兄弟

40年間口を利かず別々に暮らしている兄弟に40年前何があったのかを、観客は知らされないまま映画は終わる。

羊の伝染病で村の羊が全頭殺処分された中で、隠れて羊を飼う弟と、窮地に陥る弟を助ける兄。羊こそ自分の人生という点で一致する兄弟が、共犯者となることで和解の気配がしてくる。

雪に掘った穴の中で、瀕死の弟を泣きながら暖める兄。弟はすでに死んでいるのだろうか。